本屋で本を探す

 枕が変わると寝られないからか、出張でホテルに泊まったときは大抵眠るのが遅くなる。今回も寝たのは28時頃、起床は7時。さすがに出張先で遅刻するわけにもいかないので携帯の目覚まし+iPhoneの目覚まし+モーニングコールのトリプルアタック、しかも全て別々の場所に置く、という手段を使ってどうにか起きることに成功。しかし当然のことながらやたらと眠くて大変だった。起きる時間が一定(毎朝8時とか)の場合は寝る時間が遅くなっても割と普通に起きることが出来るが時間が早まると起きるのが難しいように感じる。普段3時に寝て8時に起きていて、これが4時に寝て8時に起きるのであれば簡単にできるが2時に寝て7時に起きるとなると少し難しい(出来なくはない)。そう考えると人間の習慣というものの力はすごいもんなんだなとつくづく思ってしまう。パブロフの犬、という言葉があるけれどあれと同じように意識して居ないけれど無意識にとっている習慣的な行動がいくらでもあるのではないだろうか。

 仕事はいつもの出張と同じく作業量的には大した事はないけれど時間は拘束されるタイプのもの。朝8時過ぎから仕事だったが、まともに動き出したのは10時過ぎで、その間は単なる待機要員としてそこにいただけ、というような形になる。こういうのは面倒くさいと思ってしまうがよくよく考えて見ると接客業のバイトなんてそんな感じで、客が来ない間は特にやることが無くてもいなければならない。自分もやっていたからよくわかっているはずなのに、今となってはそんな時間の使い方は無駄なように感じてしまう。なんだかんだいって気付かないうちに社会人の意識が身についた、という事なのかも知れない。

 新入社員研修の話。会社内のポータルサイトから新入社員の研修の様子が確認できる(講師のブログという形)のだけれど、そこに度々登場するのが「コミュニケーション力」というもの。あれがどうもわからない。分からないというか、そういう曖昧な言葉でぼかして、適当に言いくるめている印象を持ってしまう。反論が出来ない言葉を一方的に押しつけて得意がっているのでは? という感じ。と言うのもその「コミュニケーション力」というのを定量的に測るにはどうすればいいのか、という話は一切無いからだ。例えば「握力をつける」というのであれば握力計のようなもので計測して元の力と練習後の力を比較することが出来る。でもコミュニケーション力というのはそれが出来ない。誰かの主観で「ある/ない」が勝手に測られるだけだ。そもそも言葉自体の定義も曖昧で言ってる側と受け取ってる側で全然別の事を考えて居る可能性も高い。そんな中で押しつけてくる「コミュニケーション力」なんて何の意味があるのだろうか。どう考えても「言っておけば間違いない」から言っているだけだ。コミュニケーション力と言われたって、接客業だとかSEだとかプログラマとかによっても違うし、同じ接客業だってファーストフードとレンタルビデオ店では全く違う。エロDVD借りに来た人に「ご一緒にこちらはいかがですか?」とか勧めたりするのは間違っているだろう。そんな風に反論の出せない言葉で大上段から押し切るのではなくて、例えばケーススタディなんかでこういう場合にはどうすればよかったか、などと議論させた方がよっぽど力になるし、それぞれが考えるようになるのではないだろうか。
 そして「とにかく仲良くすること」をコミュニケーション力と呼ぶのはいい加減止めた方がいい。仲良くなんてなくたってコミュニケーションはとれるし、友達のような間柄になったからと言ってそれがコミュニケーションがとれているとも言い切れない。大切なのはコミュニケーションをとって何をするのかであってコミュニケーションをとる事自体を目的としてしまうと本末転倒になりかねない。

 仕事の帰りに同期から「本屋に寄るのであればあったら買ってきて欲しい」と言われた本を本屋で探したのだが全然見つからなかった。帰りに秋葉原にも寄ったので数店の本屋を覗いたのだがどこにも売っていない。秋葉原ヨドバシカメラの7回にある有隣堂は店内端末から在庫検索が出来るのでしてみたのだがその本はもちろん、その人が書いている本も1冊も売っていなかった。
 となればあとは必殺のAmazonさんに期待するしかないわけで、早速その場で検索してみたのだがAmazonにも売っていない。しかもこちらも有隣堂と同じくどの本も在庫がなかった。そのせいで俄然興味を持ったのだがどうも有名な人らしい。ジャック・アタリという著者で、フランスアタリでは有名な人のようだ。それ以上に面白いのはその頼んできた人がそういった本を読むような人に見えないこと。しかしそう思ってしまうということはやっぱり自分はまだ人を見かけで判断しているのだなと少し考えさせられた。見た目で判断するのはある意味当たり前の事だけれど、「この人がこんな難しそうな本を!?」的な事を思ってしまっていたのでどこか侮蔑的な目を持っているのかもしれない。恥ずかしいことだ。