無給のゴールデン

 いつも起きている8時という時間は、私の中では割と生命線とも言える時間で、これより起きるのが遅いと既に会社に遅刻する危険性が相当高くなるまさにデッドラインでもあるわけだ。その時間に今日は起きれなかった。と言っても軽く20分ほど寝過ごしてしまっただけだ。しかしそれはもう十分慌てる時間だった。そんなわけで8時20分という割とまずい時間に起きた私は急ぎ出立の準備を整えて家を飛び出したのだった。今日の夕方以降は雨が降ることも知らずに。傘を持つことなど思いもせずに。

 もうすっかり春というか、春にしては暑いというか、少し前まで凍えていたのが嘘のように暖かく、半そでシャツの上にワイシャツでも全く寒くない陽気で、念のために持って行ったカーデガンはずっと小脇に抱えられる羽目に陥っていた。この分だと夏は暑いだろうな、とでも言いたくなるような暖かさだ。
 仕事はまた明日の準備などを。先週は久しぶりに3連休なんて貰ってしまったけれど、今週はまた土曜日まで仕事だったりするのでその準備もある。つまり準備ばかりしていた。まぁ仕事なんて大半は何かの準備だ。多分どんな仕事も。ただ何を準備と考えるかで解釈は違うだろうけど。
 ゴールデンウィークが近づいて、長い人はなんと半月ぐらい休み、という人が世の中にはいるらしいという話を聞いた。多分テレビでやっていたのだと思うけれど半月休みになるというのはまたすごいな。ただどうもその間は給料が出ないらしい。当たり前のような気もするし、有給休暇をとることが出来ないものなのか、とも考える。法律的に取れないのはおかしいだろうからきっととれるはずだ。でもなんとなくあまりそう言うことで騒ぐ人はいないような気もする。それが美徳かどうかは置いといて、そういう風潮はまだ残っている。それよりも驚いたのはどうも「その間は他の仕事をして良い」という話が出ているらしい事だ。それはさすがに何か違うだろう。他で働く云々ではなく、自分のところで仕事を与えることが出来ないから休みにしているのに何故いかにも許可を与えてやっているという態度をとるのだろうか。そこがおかしく思う。ただ、人づてに聞いた話なので本当のところは知らない。ので判断をするべきではないだろう。本当であればそう思う、というだけ。
 それにしても従業員に甘えている会社が多いなと感じる。本来払うべきものを払わずにおいて、儲けている人が随分たくさんいるだろう。そうしなければ潰れるというところもあるだろうがそうしなければならないなら潰れてしまえばいい。

 久々に今日は残業をせずに退社。今までのご多分に漏れず今日も残業をさせられそうだったが今日はかなり強い意志を持って帰る事にした。昼休みに欲しかった小説が手に入ったのでそれが読みたかったし、雨が夜になるほど酷くなるということなので早いところ帰りたかった。その上仕事は別段緊急でもない。そんなわけでまっすぐ家に帰り、ご飯を食べ、延々と小説を読んでいた。25時までに2冊。今日読んだのは北方版三国志の6,7巻。ついに赤壁が終わった。そして相変わらず面白い。この面白さが他の三国志を読んでいたところから来るのか、もしくは読んだことが無い人でも同じように楽しめるのか、そこが気になる。この面白さなら誰もが楽しめるとは思うが。
 本を読み進めていくと一番悲しいのは終わりが見えてくることだ。勢いよく読んでしまうと最初は「まだ何冊もある」と思うが段々「あと何冊しかないのか……」と思うようになる。多分私が読んでいるこのシリーズもそろそろ折り返し地点でそういった感情を覚えるようになってきた。小説の内容とは全く関係成しにこういった感情を持ってしまうのはある程度小説に予断を与えてしまうので本当はよくないのだが、と思いながら今日も小説を読み続けたのであった。