前例を作りたくない

 また今週も仕事で前日からぶっ続けで仕事をしていた。毎週連続はここで一旦途切れ、次はまた再来週の予定だったり。とは言えなんだかんだで金曜の夜から土曜日の朝まで働き、東京まで戻ってきてまた日曜の夕方には仕事に向かわなければならず、実質的に丸一日の休みがもうずっとなかった(というか今週、明日もそうだけど)ので、一週間あいだが開いてくれるだけでもかなり嬉しいと言わざるを得ない。今日の仕事は特に問題なく終わった。と思ったら突然問題が発生したりなど。周りにいた全員が「ああやっと終わった」なんて安心しきっている所に不意打ちで来たために混乱してしまった。やはり人間が一番もろくなるのは安心した瞬間らしい。
 とは言えそれは何とかなったので朝の新幹線で東京に。先週先々週と朝早い新幹線でも混んでいたので今回も混んでいる事を予想していたけれど、予想していたほど混んではいなかった。そういえば先週までは春休み期間だったなと今更ながらにそんなことを思った。混んでないと言っても席が取れた、という意味で私が座った席は3人掛けの通路側だったけれどすぐ隣にも座っている人がいた(大抵はいない)。休みの日に新幹線に乗って東京まで来るなんて元気だなと思う。私は仕事じゃなければ東京から離れようと思わないし、きっと名古屋に住んでいたとしても東京に向かおうと思うことはないだろう。そもそも乗り物事態が好きではないからだ。

 仕事の話。私はSEで、今はシステムを切り替えたりしている直後なので問題が(安定期に比べると)結構多い。中には深夜に呼び出される人もいるぐらいで、そういう時は大抵いつも同じ人が呼び出されている。呼び出されている理由は家が近いからとかスキルが高いからとか色々あるけれど、その一番の理由は「前回(いつも)呼ばれているから」だ。前も呼んだから今回も呼ぼう、という嫌がらせなわけでは決して無く、一度そういう対処をしたからそのスキルが身についているのですぐに仕事に取りかかれるから、という方の理由が多いだろう。そうするとどうなるかというと、当然最初に述べたように毎回同じ人が呼ばれるようになる。その方が話が早いからだ。
 やっている方もやりたいと思ってやっているわけではなく、なるべくなら誰もそんな深夜呼び出し対応などやりたくはない。昼間(というか夜まで)仕事をして、家に帰ってさぁ寝ようとなると呼び出されるわけだ。たまらない。かといって「俺はやりたくない! 他の人にやらせてくれ!」という程自分勝手でもない。となると呼ぶ方はやっぱり同じ人を呼んでしまう。だってみんな呼ばれたら嫌がるわけで、であれば「前もやったから」という理由が立ち、かつ「一度頼まれて受けた」という実績があるからどうしてもそうなる。呼ぶ側も嫌な思いをしなくて済むわけだし。
 そんなわけでどうしても同じ人を呼び出してしまうけれど、その人には悪いと思っていてどうにかしたい、という話を上司からされた。私は「それは中々難しい問題ですね」などと述べ、どうすればいいか考えてみたけれど、上司が言いたいのは別に案を考えて欲しい訳じゃなく、「お前が率先して来いよ」という話だ。別に何が何でも行きたくない、嫌だ、と私も思っているわけではないが、やはり一度既成事実ができてしまうと毎回同じように頼られ、結果として生活がぐちゃぐちゃになることを懸念して私も素直に受け入れられなかった。かといって対案があるわけでもなく、さりとて毎回同じ人にやって貰うのも心が(ほんの少しだけ)痛い思いをしていて……。と久々に仕事でちょっと考えたところで答えが出ない問題に巡り会ってしまった。本当に難しい。

 東京に戻ってきたついでに秋葉原に寄り(これも3週間連続)とらのあなで漫画を買い、家に帰った。とらのあなではドラゴンエイジという漫画雑誌がリニューアルされたらしく、その雑誌か、もしくはその雑誌に掲載されている漫画の単行本を買うと専用の紙袋のような物がもらえるようだった。私が今日買った漫画の中にもそういった物があり、レジで店員に「袋がおつけ出来ますが、いりますか?」と聞かれたので私は「いりません」と答えた。と言うのも欲しい気持ちは無くもないけれどこういった物は結局ゴミになって捨てることになるから。他の大切にしてくれる人の元に届いた方がいいと思ったのだ。そしたら店員は「わかりました」と袋を持ってきて渡してきた。私は一瞬キョトンとしてしまったが結果的に言うとその袋を受け取って帰ってきた。わざわざそれを「いらん!」と突き返すほどの気力がなかったから。要するにオタクのオタクによる先入観みたいなものがあって「購入特典を断る人なんかはいない」という考えなのだろう。一応確認しているけれどみんなどうせもらうだろう、なんて思っているから言葉をほとんど聞いていないのだと思われる。
 まぁデフォルトで渡さない方に聞き間違えるよりはいいのではないかと思う。特に文句などはない。