ハーマンミラーと塞翁が馬

 就寝は24時前後、起床は7時半。ようやく一般人らしい生活に戻ったといえるだろうか。しかしその時間に寝たのは夕飯後に飲んだ痛み止めの睡眠導入効果だし、7時半に起きた理由も30分は起き上がれないだろうと考えてのことなので一般人というよりはどちらかというと怪しい人だ。
 7時半に起床、というのは結局7時半に目覚ましをかけた、ということを意味していてその時間に目覚ましがなってその音で目を覚ましたということ。そして腰痛に悩まされている今は起きてすぐは体が動かせないことを考えるとわかっていただけるかと思うが、7時半に鳴り始めた目覚まし時計は止められること無く延々と騒音を撒き散らしていた。枕元に置いておくと止めた後すぐ寝てしまう、と考えてのことだがこういった状況では逆効果だった。延々5分間ほど鳴り続けられたせいで延々と苦痛を味わう事になった。ただ今日はそれほど酷い状況でもなく15分ぐらいで動ける状態に戻ったので起きて準備をして会社に。
 家を出て途中の駅に着いた時点でもう激しく後悔するほど辛かった。昔高熱が出たときに無理して会社に行ったものの、途中で調子が悪くなりすぎてこれ以上先に進むのもつらいし、かといって帰るには遠すぎるし、ということで途方に暮れた事があったがあれに近い物を感じた。立ってても歩いていても座っていても辛いので所在がない。とは言えそうそう休み続けるわけにもいかないので会社へ。

 Twitterかこの日記のどちらかは忘れたが私は家で結構いい椅子、ハーマンミラーの高機能ワークチェアを使っていて、腰に負担がかからないと評判のこの椅子で腰痛になるなんて大したことない椅子だったな、というような事を書いたのだが会社に行ってわかった。やはりハーマンミラーはすごい物だと言うことが。まず座った感覚が全然違う。会社の椅子はもう座っているだけで半分苦痛だったが家のハーマンミラーは座っていることが出来る、というか背当ての位置を変えたり背もたれを固くしたりなどして腰に負担がかからないように出来る。口で説明はいくらでもしようと思えば出来そうだが、とにかくもう座った感じが全然違う。元気な時には気付かなかったがこうやって体調が悪い時ほどそういった差が顕著に出るようだ。よく物件なども天気が悪い日に見た方が良い、という事を聞くがこれとまた同じようなものだろう。

 仕事はもう一杯一杯だったが、とにかく腰痛経験者の人と仲良くすることが出来た。というかもうみんな嬉しそうなこと……。昨日も書いたが蓄膿症などと同じで見た目では調子が悪いことが判断付かないし、痛みにしても経験者にしかわからないのでやはり仲間意識が働くのだろう。普段ほとんどしゃべらない人とも話すことが出来て人生万事塞翁が馬というのは意外と事実かもしれないな、などと考えた。腰痛になってこれが初めての良かった事だ。腰にコルセット(腰痛用のベルト)を巻いていれば大分、というか相当楽になるのだが、これは少し良くなってきたら外すようにしないと、筋肉が衰えてより腰痛になりやすくなる、という情報も教えて貰った。付けてると楽なのでそのまま付けっぱなしになってしまいそうな所だったが、その情報のお陰でさらなる苦しみにさらされる事は無くなりそうだ。その代わり仕事は椅子が辛かったのもあって少し座って立ち上がり、歩き、また座り、ということを繰り返していたので効率は悪かった。会社だと横になることが出来ないのがとにかく辛かった。

 普段通勤するときは色々と物が入った鞄を持ち歩いているのだが、重たい物を持つのは止めろと言われていたので今日は社員証だけを持って会社に行った。それで気付いたのだが普段会社に持って行っている物で、本当に必要な物は何一つ無かったという事実だ。万年筆とかメモ帳とかデジカメとかノートとかとにかく色々持ち歩いてはいるけれど、どれもこれも無くても困らない物だった。唯一困ったのが往復に読む本だったがそれすらもiPhoneがあれば代用が出来る。色々持ち歩いていると安心だし助かることも多いけれど、そのほとんどが滅多に使わない物だらけで、持ち歩くことは得なことではなく逆に損をしているのではないだろうか、などと考えさせられた。100日に1回しか使わない物を100日持ち歩き続けるのは明らかに無駄な行動だがその1日に役に立てば他の99日が報われるのか、もしくは1日の損は想定外の出来事として切り捨てると考えて持ち歩かない方がいいのか、そんな答えの出ないようなことを考えた一日だった。